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変わる新卒採用~『インターンシップ』の理解を深める~

採用

2019.06.11

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今年は「働き方改革関連法案」など、雇用や労働について多くのニュースが報じられていますが、その大きなトピックスの一つが「新卒採用」でしょう 。

 

2018年の秋に、日本経済団体連合会(経団連)の中西会長が「経団連が主導する就活ルールは廃止」と表明したことを受けて、新卒採用の在り方が大きく変わろうとしています。また、少子高齢化・人口減少が進むなかで、次世代を担う若手社員を確保できる新卒採用の重要性も高まっています。 今回は新卒採用と、そのなかで今後のカギを握るインターンシップについてお伝えしたいと思います。

「就活ルール」について

まず、改めて従来の新卒採用の仕組みを振り返りましょう。
日本では従来から「新卒一括採用」が多くの企業で行われてきました。これは企業が特定の時期に、卒業予定の学生を集中的に選考し、在学中に採用内定を出すというものです。

終身雇用や年功賃金と一体となった日本型雇用システムの一つで、通年採用が一般的な欧米から見れば独特な雇用慣行と言えます。この独特の慣行に基づいて行われる、大学生、大学院生、短大生などの就職活動が、高校生や既卒者の就職活動や在職者の転職活動と区別して「就活(またはシューカツ)」と呼ばれています。
そして、これまで就活のルールを決めていたのが経団連でした。
※現在の就活ルールは正式には「採用選考に関する指針」という名称。経団連加盟企業に対して内容に十分配慮しながら自己責任で行動するように求めており、強制力や罰則などは無い

しかし近年、この方式は徐々に機能しなくなってきていました。就活ルールは、外資系企業やベンチャー企業など経団連に所属しない企業には関係がありません。また、多くの企業で人材確保が重要な経営課題となる中で、経団連に加盟する企業がルールを守らないということも増えてきました。

さらに、学生のニーズにも合わなくなってきました。海外留学を望む学生にとっては、就活ルールの存在は卒業後の進路選択に不利に働く可能性があります。また、入社後に仕事内容が決まる一括採用方式は、「配属ガチャ」と呼ばれキャリア形成におけるリスクと捉えられるなど、学生の嗜好やキャリア観に合わなくなってきています。このような状況の中で、経団連は2020年学卒者の新卒採用を最後に「就活ルール」の廃止を決めたのです。

今後は、政府と学校が連携して新たなルールを定めるとされています。2021年学卒者の新卒採用に関しては、従来通りのスケジュールが維持される見通しですが、それ以降のことはまだ決まっていません。

最終的にどのようなルールが出来上がるかはまだ分かりませんが、「一括採用」に限らず「ジョブ型採用(=職務や勤務地などが限定された採用)」など、様々な採用形態を企業が組み合わせて実施するなど、採用方法の多様化が予想されます。

注目度が高まるインターンシップ

大きく変わる採用環境で、今後重要な位置付けになると思われる施策が「インターンシップ(通称:インターン)」です。

「インターンシップ」とは簡単に言うと、学生が企業などで「就業体験」を行うことです。
日本でも2000年代に広がり、現在では日系の大手企業からベンチャー企業まで様々な企業がインターンのプログラムを用意しています。
特に2013年学卒者の採用から、就活時期が段階的に後ろ倒しされるのに伴い、企業が学生に会社をアピールする手段として活発になってきました。経団連の「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」では、8割以上の企業が、インターンを実施したと回答しています。

そして、インターンの種類も、実際の職場での就業体験だけでなく、ワークショップで職業疑似体験をするイベント型、チームで企画コンテストに参加するプロジェクト型、会社説明会の拡大版のような1day型など種類も様々になってきました。最近では、特に人材不足が深刻なITエンジニアを中心に、10万円以上の報酬を支払うプログラムも出てきており、社会的な注目も高まっています。

実施時期は、6月ごろに募集を行い、学生の夏休み期間である8〜9月に実施する「夏インターン」と、10月ごろから募集を行い12月〜2月に実施する「冬インターン」が一般的です。これらは就活を控える大学3年生、修士1年生を対象にしたものがほとんどです。ただし最近では、学年の制限のないインターンや時期の制限のないプログラムも増えてきています。

インターンのメリット

企業にとってインターンにはどんなメリットがあるのでしょうか?

最も期待されるのは採用活動への効果です。採用直結のインターンは認められていませんが、インターンの募集をナビサイトなどで行うことは、採用広報と同じく学生に企業認知を高めてもらう効果があります。

また、ミスマッチの解消も期待できます。これまでの就活では、学生は決められた短い期間の中で企業研究をして就職先を探しており、ミスマッチによる早期離職が問題視されていました。インターンを経験した学生が、自己理解や職業理解が進んだ状態で入社できれば、ミスマッチの可能性は下がり、離職率の改善も期待できます。

また、既存の社員への効果も期待できます。インターンは社員が学生と接して、仕事内容や意義を伝える機会を定期的に生み出します。このことは、社員が自分の仕事の意義を再認識する、若手社員の成長のきっかけになる、といった効果に繋がります。

さらに、自社のビジネスや風土づくりに若者の新たな視点を取り入れることも可能です。つまり、インターンシップは自社の活性化にも効果があると考えられます。そして会社が活性化していれば、魅力を感じて入社を希望する学生が増える、と言う良いサイクルを生み出すことに繋がるのです。

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インターンを行う上で気をつけたいこと

では、インターンを実施する場合、企業はどんなことに気をつけなければいけないでしょうか。

まず準備段階です。就業体験としてふさわしいプログラムを提供するために、人事部門だけでなく営業や開発など、多くの社内の協力が必要となります。特に実際に学生を現場に配属する場合は、学生に提供する業務内容、評価やフィードバックの方法、営業機密の取扱い方、インターン中の業務に対する知的財産権の扱いなど、配属先と綿密な調整が必要となります。

またインターンでは、学生に企業の「中身」を見せるわけですから、悪しき企業文化や慣習は改めておかなければ、悪い評判が広まってしまい逆効果になりかねません。特に社会的に関心が高まっている、セクハラ、パワハラ、長時間労働などには要注意でしょう。

実際に受け入れる際に重要なことは、「就業体験を通じて企業理解・職業理解を深めたい」と言う学生の目線に立って、参加者の満足度を向上させることです。過剰にお客様扱いをして何も手を出させないことも、安い労働力と見なされるような過度な負荷を掛けることも良くありません。学生には自社の中で一定の役割と適度な難易度のテーマを与え、成長を促すことが大切です。そのためには現場に任せっきりにせずに、定期的に人事担当者がコミュニケーションを行いフォローすることが大切です。

また、参加する学生側も、評価されているという意識を持つことも大切ですし、自分自身が仕事や企業に求めることに気付く貴重な機会でもあります。実体験に基づいた判断軸は、他の企業を判断する際にも役に立ちます。ぜひ企業から与えられるプログラムを受動的にこなすだけでなく、様々な情報を得られるように自分から積極的に働きかけ、充実したインターンにして頂きたいと思います。

いかがでしたか?
このようにインターンは、企業と学生の双方にとって、貴重な機会となっています。
最新の就活情報と合わせてインターンの動向も定期的に確認をしておきましょう。