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キャリコンインタビュー
2021.03.04
「キャリコンで実感したのは聴く力と行動から学ぶことの大切さ」
キャリコンサロン中国支部を立ち上げた、広島の若者支援キャリコン
広島で大手企業の人事・人材育成担当として活躍されている海見麻琴さん。キャリコン資格取得から一年ほどですが、キャリコンサロン中国支部の初代支部長に就任され、実践を想定した面談ロールプレイングによって、スキルを高め合う部活動「はじめの一歩部」でも運営に携わる等活動の幅を広げています。今回はそんな海見さんにキャリコン資格取得やサロンに入会されたきっかけなどを伺いました。
目次
-まずは自己紹介をお願いいたします。
海見 麻琴と申します。普段は損害保険会社の中国エリア(広島、岡山、山口、鳥取、島根)の人事・総務の部門で働いています。主な仕事は新卒採用と人材育成で新卒採用は8年、人材育成には2年ほど携わってきました。キャリコンを取得する前から、就活生と企業のアンマッチを防ぐことや、社員の働き甲斐、やりがい向上を意識して仕事に取り組んでまいりました。
-ありがとうございます。キャリコンの資格を目指されたきっかけも人事担当になったことがあるのですか?
大学で心理学を専攻していたこともあり、それまでもカウンセラーの資格に興味をもってはいたのですが、資格の取得までには踏み切れずにいたんです。しかし、人事担当として働く中、採用した学生が入社後に悩んでいたり、辞めてしまったりしている様を見ているうちに、自分でも仕事のやりがいやキャリアについて考える時間が増えていき、「やっぱり取ろう!」と決心しました。
はじめは産業カウンセラーの養成講座を探していたんですが、見つけたホームページに出ていたキャリアコンサルタントの講座の案内を見て、メンタルケアだけでなく人のキャリア全般に関われるところから「私にはこっちだ!」とキャリコンの方に申し込みました。
-実際に勉強してみていかがでしたか?
心理学は大学でも学んでいましたが、キャリアの理論は、学ぶ中で自分の人生も振り返れて、「あの時のあれはこういうことだったんだ」と発見する部分が多くありました。後は面談の部分ですね。新卒採用の面接やセミナーなどを通じて採用の視点や人を選ぶ、見立てることはやってきたのですが、人の話を聞いて深める経験は少なかったので、解決策の提案ばかりで、養成講座で習うような「深める」質問が浮かんでこないんですよ。普段いかに人の話しを聞いてこなかったかということを思い知らされて、自分には向いていないのではないかと落ち込んだりもしました。
-それを乗り越えて資格を取られたのは何かターニングポイントがあったのですか?
講座で学んだことを取り入れて学生や同僚との接し方を変えてみたんです。例えば、職場の人間関係の悩みを相談された時に、今までは「あの人はああいう人だから仕方ない」と返していたのを、「どういうところに悩んでいるの?」とか「どうしてそういう風に思ったの?」とより深める質問をしてみる感じです。
そうすると、相手からどんどん話してくれるようになって、人間関係ではない本質的な問題点に気づけたことがあって、「あ、キャリアコンサルタントの質問ってこういうことか」と肚落ちしましたし、うれしかったのも覚えています。これまで仕事は黙々と迅速・的確にこなすことを大事にしていて、人から何かを聞かれた時も、的確さを重視していたんですが、一度問題が解決するとそれっきりで二度三度と相談にくることはなかったんです。でもキャリコンで学んだ感情に寄り添う聞き方を取り入れることで、プライベートの話題や人間関係の悩みといった幅広く深い悩みを持ちかけられたり、複数回相談を受けることも増えました。
-そういう機会が増えていく中で海見さんはどんなことを思われたのでしょう?
「聴く力」って大切なことだなということですね。勿論失敗することもありますが、それでも意識して聴くことで、聞いていないことまで話してくれて、その中で相手が自分で気づいて行動が変わっていくという姿を見て、大切さを実感しました。
「聴く力」は研修で聞いてもいまいちピンと来なかったんですが、キャリコンの勉強を踏まえて行動したことで自分の行動につながる実感のこもった知識になったように思います。
-ありがとうございます。学生さんとの関わりの中ではどうですか?キャリコンの学びを得て変わったことはあったのでしょうか?
そうですね。学生との関わり方は変わったように思います。例えば採用面接では事実や成果だけでなく、感情や価値観にフォーカスする質問が多く出るようになりました。あまりに自然に出るので「もっと事実を聞かないといけないのに」とも思うのですが、質問の引き出しが増えたことと、面接の姿勢としても、どうすれば欲しい答えが出てくるのか?ではなく、自然とその人らしさを引き出すような面接ができるようになったことで、面接を楽しめるようになりました。
-キャリコンの学びが様々なところで海見さんの変化につながっているんですね。海見さんの会社でもキャリコンの学びを生かして、新たに始められたことがあったりするのでしょうか?
一つは、新卒社員の定着面談ですね。これは新卒社員の早期離職の問題や、採用と人材育成を別の部署が担当しているために、新入社員一人ひとりに合った育成プログラムができていない課題を改善しようと始めたものです。研修にはキャリコンの勉強中から課題意識を持っていて、私にも関わらせて欲しいと上司に言い続けていたら、気が付くと人材育成の担当にもなっていました(笑)。
私が入ることで、選考時点からの関係性を土台に、所属部署の上司には言えないことも話してもらえるようになったので、素直に良かったなと思っています。面談も昨年までは採用部門だけで対応するため、営業や損害サポートなどの具体的な仕事に関する相談に対応できない課題もあったのですが、今年からは各部署の育成担当の協力も得て、仕事の相談と人間関係などのキャリア全般に関することを分担して聞くようにもしました。新入社員の満足度の向上にもつながっていくといいと思います。
あとは「話す・聞くスキル研修」というのもあります。資格を取る直前に参加したメンター養成講座の学びを、様々な階層向けに再構築して実施しました。参加した社員達からはいい反応ももらえた一方で、「しっかり聞ける時間を確保するのは難しい」とご意見も頂いてしまいましたが、じっくり聴く姿勢は社内に浸透していって欲しいです。
今は社内キャリコンという位置づけではないのですが、社内キャリコンという立場を確立して、上司が部下に対応しきれない部分を拾い上げられたらまた環境も変わると思うので今後も努力を続けたいところですね。
-社内から、聴く力、聴く文化を広げることに積極的に取り組まれているんですね。そんな海見さんですが、キャリコンサロンに入られたのはどういったきっかけからだったのですか?
イベントでキャリコンサロン代表の塚田さんと出会ったことがきっかけです。キャリコン=面談というイメージがあったんですが、会社が副業禁止なこともあって、キャリコンとしての活動がなかなかできないという思いを抱えながら1年が経過した頃、twitterで案内が流れてきた「CREEDOなるにはトーク #15 〜キャリアコンサルタントとして生計を立てるには?〜」を何となく視聴しました。
そこに出ていた塚田さんのお話から、キャリコンは面談だけでなく、キャリアコンサルタントの普及啓発に取り組んだり、今の会社で経験を積みながら独立を考えていくこともできるということに気付きました。イベント終了後には、視聴者限定の特典として個別のオンライン面談にも申し込んで、60分の面談時間が半分すぎる頃にはすっかり入会を決めていました(笑)。
-それほどに印象深い体験だったんですね。現在は、「はじめの一歩部」のメンバーとしても活動していると伺ったのですが、ここに入ったのも面談のスキルを磨きたいということからだったんですか?
そうですね。それまで面接や個人的相談に乗る機会はあってもキャリコンとして50分間の面談をする機会がなかったので、まずはその機会を得ること。それから面談の機会を通じて、自分の現状を知り、さらにスキルを磨くことを目的に参加しました。
-参加されてみていかがでしたか?
一番良かったのは、サロンメンバーとの交流の機会が増えたことだと思います。入会後、勉強会やセミナーにも参加しましたが、短い時間の中で十分な交流の場は持てずにいたんですよね。
でも「はじめの一歩部」に参加して、ロープレは勿論、勉強会や事例共有会に参加したり、部で幹事を引き受けることとなった第15回キャリアコンサルタント試験のお疲れ様会の企画をしたりしていく中で、どんどん輪が広がっていきました。交流を通じてそれぞれの得意な領域や分野を生かしつつ、つながりをもって学ぶ大事さを知って、私自身の行動も変わったように思います。最近では、部経由でサロンから学生の自己理解支援の仕事もいただくことになりました。
-それは凄いお話ですね。実際にはどんなことをされているのですか?
オンラインOB・OG訪問サービスに登録して、申し込みのあった学生さんと面談をしています。塚田さんから、はじめの一歩部で練習した方の次の「稼ぐ」フェーズの一歩になるのではないかとお話をいただきました。私は副業ができないので、うまく調整いただきながら、2021年の1月頃から週に5~10人ほどの学生さんの支援をおこなっています。
私も当社志望の学生に対して個別にアドバイスすることもあるのですが、学生が実際どういう風に自己分析を進めているのか知る機会がなかったんですよね。でもこの面談で、自分の強みはわかってもそれがエピソードと結びつかないとか、志望動機とマッチしないという悩みを抱えていることを知って、自己分析のやり方だけ伝えてもダメだと気づきました。今はこの経験を本業でも生かせないかと考えています。
-次々と新しい経験をしながらその中で学びも得られているのですね。
新しい経験というと海見さんは、サロンの新しい支部にも支部長として携わられているそうですね。
そうなんです。サロンに入会した時に中国支部がないことに気付いて、塚田さんに相談したら、「ちょうど立ち上げたいと思っていたんです」というお話があり、立上げのためのルールを知りました。そして、その直後に、私の知り合いが立て続けに入会することになり、気付けば支部を立上げるための条件を満たす人数になっていました。
それから、サロンの創設初期からのメンバーで、以前から中国支部の立ち上げを考えていた方がいると聞いていたので、私はてっきりその方と塚田さんで立ち上げると思っていたんですが、気が付いたら支部長になっていました(笑)。
-正直その時どんなお気持ちでした?
顔合わせの時に参加されていた6人のメンバーで、私が下から一番目か二番目に実務経験がなかったので初めは正直どうしようかなと思いました。でもはじめの一歩部の学生支援の面談でキャリコンの経験だけがキャリコンの武器ではないことを感じていた時期でもあったので、「支部長=一番知識を持っている人」でなくとも、私にできることであればやってもいいかもしれないと考え直して、お引き受けしました。
-サロンの経験で得た前向きな力で支部長にも一歩踏み出す決意をされたんですね。
それでは今後支部としてどんな事をしたいとお考えでしょうか。
一つは女性活躍の支援です。今、中国支部のメンバーが全員女性で、ほとんどが若年層のキャリア支援に携わっているのですが、中国地方の労働の現状を見ると、まだまだ会社の中での女性の立場は低いままになっています。それをどう打開して女性のキャリアを描けるようにしていくか、交流会のような形式で支部内外の人と意見を交換して、今後の取り組みの方向性を探っていけたらいいとメンバーの皆さんと話しているところです。女性が活躍できる環境を整えることで女性が社会に羽ばたいて、結果として、中国地方全体の活性化にもつながるといいですね。
支部活動については、私よりもメンバーの方々の方がアイデアや熱量をお持ちなので、それを叶えるのが私の役目かなという印象です。なのでまずはメンバーのやりたいことを一回り実現して、それから支部の方向性を定めていくのもいいかと思っています。
-支部の今後に乞うご期待といった感じですね。海見さんご自身としては、サロンメンバーとして、またキャリコンとしてどんな今後を思い描いていらっしゃるのでしょうか?
そうですね。サロンメンバーとしては、中国支部をしっかり軌道に載せることが第一歩です。あとは、はじめの一歩部についても運営メンバーにならせてもらったので、私のようにキャリコンになったものの一歩を踏み出せずに悩んでいる人が自信を持てるように支援していくことが私の役割だと思うので、注力していきたいと考えています。それから就活性の支援もまだまだ始まったばかりなので、引き続きサロンを通じて社外の方の支援も積極的に行っていきたいです。
個人としてはやはり職場ですね。仕事で悩んでいる人もそうですが、大手企業ということで会社に入ったら安心という感覚の人もまだまだ多いんです。でも社会は確実に変わっていて、その変化の中で安心しきって何の準備もしていない人が放り出されることにでもなったら大変だと思うので、研修や1on1面談などで社員の意識改革やキャリア知識の向上に貢献できたらいいと思います。
-ありがとうございます。それでは最後に、キャリコンサロンに興味を持っている方とキャリコンを目指されている方にメッセージをお願いします。
キャリコンを目指されている方に対しては、頑張って資格を取ってみてほしいということです。私もこれまで色々な資格を取りましたが、キャリコンの勉強で、キャリアの知識だけでなく社会全体の変化をとらえて、その中でどう活躍していくかを考えられる広い視野を持つ大切さと覚悟が備わったのが一番のプラスだったように思うので、それを味わってほしいです。キャリコンサロンに興味を持っている方に対しては、「是非入ってみてください」の一言です。サロンに入って、やはり行動をしないと現実は何も変わらないということと、やらずに後悔するより、やってみてそこから考える方が自分の成長にもつながることを実感しました。
塚田さんもよく「うまくサロンを使ってください」とおっしゃっているんですが、サロンの中でも色々な活動があるので、それを使ってみると、自分に合うかキャリコンとしてどうありたいかが見えてくるかと思います。それから、中国支部のメンバーは、皆さん夢と希望にあふれ、実際に行動も起こしている方々ばかりなので、新しいことを始めるのに迷っている方も、豊富なご経験をお持ちのキャリコンの先輩の方もこの未熟な支部をうまく使って、一緒に中国エリアを盛り上げてもらえたらうれしいです。是非お力添えをお願いします。
-海見さん、ありがとうございました。
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