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【キャリコンインタビュー】川井泉さん

キャリコンインタビュー

2020.04.22

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「クライアントの人生にとって一歩前進のきっかけとなることが理想」 キャリコンサロン九州第1号メンバーは、理想のコンサルタント像を追い求めるこの道20年の求道者

 

キャリコンサロンの九州地区第1号会員である川井泉さん。経営コンサルタントとして、企業の経営課題の解決や人材育成に携わられるなど、多数の企業を支援してきた経験を踏まえ、現在は外国人技能実習生を監理・指導する傍ら、キャリアコンサルタントとしても様々な活躍をされています。今回は、そんな川井さんがキャリアコンサルタントを目指したきっかけや、これまでの経験を支えた「コンサルタント観」について伺いました。

キャリアコンサルタントに興味を持ったきかっけ

国家資格としてのキャリアコンサルタントと、キャリア支援に関する体系的スキルと知識に興味

-川井さんは長く経営コンサルタントとして活躍されてきたと伺いましたが、なぜキャリアコンサルタントに興味を持たれたのでしょうか。

私がキャリアコンサルタントという資格の存在を知ったのは、現職の外国人技能実習生の監理担当官の仕事に就いて2年ほどたったころ。たまたま見かけた養成講座の案内がきっかけでした。
前職で約10年携わっていた経営コンサルティングの仕事でも、その後に就いた職業訓練校の校長としての仕事でも、関わる人々の「キャリア」は避けて通れないテーマでしたので、評価面談やキャリア面談も数多く経験してきました。ただ、そのやり方はあくまで我流でしかなく、現職でもそれを続けていましたので、国家資格であり、かつ名称独占資格としての「キャリアコンサルタント」の存在と、学術的な裏付けをもって体系立てられたキャリア支援の知識とスキルを学べることに興味を持ちました。

大事なのはクライアントに「寄り添う 」姿勢。キャリコン取得へ自身を一から見直す日々。

-実際のキャリコンの勉強で何が印象に残っていますか。

いやぁ…もうとにかく実技に苦労しました。何がと言うと、コンサルタントとしての経験の中で身についた我流のやり方を、新たに学ぶキャリアコンサルタントのそれに上書きするのが本当に難しかった。もちろん、養成講座のロープレの時にはそれらしくやってみせることはできました。でもキャリコンとしての理論やスキームに基づいた関わり方がまったく身につかなくて。

変なプライドもあったのでしょうね。頭では受け入れようとするのですが、うまくいかないんです。そうして悩む私の横で、ゼロから出発したクラスメイトはどんどん成長していく。もうプライドはズタズタです。その時に、人に関わるプロフェッショナルになるには、真摯に、誠実に、素直に勉強しなければならないのだとあらためて痛感しました。

-思いがけないところで挫折を味わったのですね。そこからどうやって立ち直られたのですか。

まずは現状を素直に受け止めて、自分で自分のプライドを「折る」ところから始めました。あとはひたすら練習ですね。我流に基づく自分の経験を全否定するわけですから、そのプロセスは本当に辛かったのですが、おかげで見えてきたものもあります。

例えば、コンサルタントを生業にしているような人ほど「寄り添い」が下手だということ。もちろんすべての人がそうだというわけではないのですが、やっぱり人の上・人の前に立つこと、何かを教えるということをモチベーションにしている人が多い職業ですから。でも、それではダメだと思ったんです。特にキャリアコンサルタントになるためには、人に教える視点ではなく、クライアントと同じ目線に立って、一緒になって悩みに向き合うこと。悩みを「解決してあげる」のではなく「悩みに寄り添う」という視点が必要なんだということに気づかされました。

職場では管理職ですので、ふとした時に上から物を言ってしまいそうになる時もあります。でもそんな時こそこの反省に立ち戻って自分を律するようにしています。

「監理・矯正」から「人生の設計図を思い描く関わり」へ。「人生のきっかけとなるキャリコン」に必要なもの

-自分を一から見直すほどの経験も糧にされて、キャリコンとしての川井さんを作り上げられたのですね。そんなご経験は今、川井さんの仕事のどんな場面に生かされていますか?

外国人の技能実習生に対する「向き合い方」が変わったことがもっとも大きいと思います。技能実習で来日する外国人は、18〜19歳の若い人たちも多く、日本で働く理由も「お金」が主になってしまいがち。どうしても刹那的な考え方をしていることが多いんですね。
技能実習制度がスタートした時代から見れば、現在の制度はかなり改正も進みましたが、それでも「実習生を監理・矯正する仕事」という感覚は色濃く残っていますし、私自身、キャリコンの勉強を始めるまでは、「そういう仕事だ」という受け止め方をしていました。

でも、キャリコンとしてのあり方が明確になってくる中で、キャリア形成支援は技能実習生にこそ必要なものではないかと考えるようになりました。
技能実習制度には、元々キャリアコンサルティングという考え方は想定されていません。ですので、実習生たちとの関わり方の中でそれをどう組み込んでいくか、その試行錯誤を少しずつ積み重ねています。

また、仕事への不満やホームシックなどでモチベーションが下がった時は、単になだめすかすのではなく、「何のために日本に来たのか」「日本での生活を経て母国に何を持ち帰りたいのか」「帰国後にどんなキャリアを築きたいのか」といった、自分の人生の設計図を描き直してもらうようにしています。
そうやって当初の目的意識を思い出すことができると、表情が明るくなって「また明日から頑張ろうかな」と言ってもらえたりするんです。まだまだ課題はありますが、あるべき支援のひとつの形に近づいているんじゃないかと手応えを感じています。

-ご自身の気づきを仕事にも反映させて、クライアントの笑顔につながる仕組みや、やり方に変えているんですね。

私は、コンサルタントは「きっかけ」だと思っているんです。どんなにコンサルタントが知識やスキルを振りかざしたところで、最終的な意思決定は本人に委ねられる。
そうではなく、悩みを抱えるクライアントが「あなたと出会ったことが自分の人生にとって劇的な転換点につながるきっかけになった」と言ってもらえた時こそが、コンサルとして本当に素晴らしい仕事ができた瞬間ではないでしょうか。

だからこそ、コンサルタントには「所詮コンサルタントなんてきっかけでしかない」という謙虚さと、「人生にとって忘れられないきっかけ」になれるような存在価値を両立させることが重要で、それができるのが真に優秀なコンサルタントなのではないかと思うんです。

-人生にとって忘れられないきっかけになるコンサルタント。川井さんが思う優秀なコンサルタントには、そんなマインド以外にも何か必要なものはあるのでしょうか。

これまではともかく、「次世代のキャリアコンサルタント」として言うなら、やはり経営全般に関わる知識や心理学、社会学などの広範な引き出しが必要だと思います。

これは私自身が長く経営改善に携わっていたから思うことかもしれませんが、例えば「キャリア面談はできますが、それ以外はわかりません」という人がキャリアコンサルタントを名乗ったとしても、私なら採用しない。なぜなら、相談者にとって価値ある存在として寄り添うためには、社会・会社・仕事全般に関わる広範かつ重厚な知識や経験を持っていないと、そもそも面談なんてできるはずがないと思うからです。
だからこそ、これからの時代に「コンサルタント」を名乗るなら、組織論・人事戦略・損益や財務知識に至るまで、専門とまではいかなくとも、プロとして応じられる知識と姿勢は必要ではないでしょうか。

これは対企業に限った話ではありません。例えば相手が子供でも、将来の夢の実現に向けた話をするためには「正しいお金の知識」がなければダメですし、中学生以上になれば、社会構造や経済の動きなどの基礎知識も必要になります。そうやって考えていくと、コンサルタントの分野(領域)というのは多岐に渡りますが、持っているべき知識の基盤は、どんなコンサルタントであっても同じではないかと思いますね。

-そんな川井さんの理想とするコンサルタントになるにはどんな勉強が必要なんでしょうか。

そうですね。読書などはもちろんですが、できるだけ色々な機会に興味を持ち、人とのご縁を大切にすることですね。たとえば、自分が同じ年の頃には考えなかったようなことに取り組み、行動されている若い方や、自身が初めて見聞きするような世界で、柔軟な思考と先見の明を持って活躍されている方との接点は本当に刺激になります。

最近で言うと、「キャリアプランなんていらない」などと銘打って配信されているYouTube動画をよく観ていました。チャンネル登録数が数万人を超える、社会的影響力のあるインフルエンサーがなぜそんなことを言うのか。キャリアという言葉に込められた意味や概念が完全に変わってきていると痛感します。

「キャリコンサロン」との関わりについて

キャリコンサロン設立前から仕事で接点。サロンのメンバーは「自身の常識を打ち壊す」存在

-若い方や社会的に影響力のある方に接して、机の上の勉強だけでは得られない刺激を得ることを心掛けていらっしゃるんですね。川井さんがキャリコンサロンに入られたのはそのあたりが理由なのでしょうか。

実は私、キャリコンサロンができる前から運営会社のHRラボと接点を持っていたんです。私がキャリコンの資格を取ったことをブログに書いたのを見て、コンサル時代に私が担当した新入社員研修の受講生だった方から連絡をいただき、HRラボをご紹介いただいたのがきっかけでした。

そこから代表の塚田さんとご縁をいただき、九州地域のキャリア面談をお手伝いするようになりました。その流れからですので、キャリコンサロンが立ち上がる時にはほぼ自動的に参加することになりましたね(笑) 今でも、月1回の勉強会やサロン内のイベントや部活動に参加したりと、様々な場面で関わりを深めています。

-そんな川井さんにとってキャリコンサロンのメンバーはどんな存在ですか?

自分の常識を打ち壊す存在…と言えるでしょうか。例えば何か新しいアイデアが持ち上がったとしますよね?私はどちらかというと議論を尽くしてから動きたいタイプなんですが、キャリコンサロンには「面白そうだね。じゃあやろう」とパッと動いてしまう人がたくさんいるんです。
また、何か議論をしている時でも、自分が持っていた視点とは全く違う角度から意見が飛んでくる。そういう考え方や捉え方があったのかという新たな発見がある。自分の「感覚・概念の外側にいる人たち」の存在は本当に刺激的です。

-まさに自分が打ち壊される瞬間ですよね。そういう瞬間を受け止めるのは怖い気もしますが、川井さんの中ではどう受け止めているのですか?

ひと言でいうとイライラしています(笑)。自分の中でイメージし、組み立てたものとまったく違うものが出てくるわけですから。でも、イライラしているだけではもったいない。なぜイライラするのだろう、なぜ自分はこんな考え方をするのだろうと考えるわけです。本を読んだり、インターネットで調べたり、さらに別の人に話を聞いたり。そうするうちに、自分と周囲の違いを少しずつ受け入れて、血肉に変えられるようになってきた…という感じですね。振り返れば、前職のコンサル会社で「身につけるか辞めるか選べ」と言われながら死に物狂いで学んだその姿勢が生きているのかもしれません。

今後の展望について

キャリアコンサルティングの地位向上へ
独自の外国人技能実習のビジネス構築とサロンの活動を通じた
「キャリア」への社会的な認識変革に邁進

-あらゆる経験を学びに変えてこられたんですね。そんな川井さんは今後どのように進んでいきたいと思われているのですか?

何よりもまず、キャリアコンサルタントの社会的地位を引き上げたい。実力のない肩書きだけのキャリコンが増えても何の意味もありません。キャリア形成支援を必要としている人に、的確で高度なサービスが提供できる人を増やし、そのレベルに相応しい対価が発生する存在に変えていきたいということです。

身近なところで言うならば、今私が関わっている外国人技能実習生の支援ですね。今はまだ支援の仕組みも未成熟で、社会的にもその現状は知られていないので、その周知も含めて、スキームを確立していきたいと 思っています。
キャリコンの地位の向上という意味では、サロンの活動ももちろん大事にしたいですね。今の日本はまだまだ「キャリア=職歴」、「キャリア相談=進路・就職相談」のイメージが強い。「キャリアプランなんていらない」という声も、新しい価値観の台頭とキャリアの本当の意味の履き違えの両方が原因です。
そうではなく、人生そのものが「キャリア」であり、そのプランニングを支えるのが真の「キャリア支援」なんだということを社会に知らしめていかねばならないし、その必要性を実感できる具体的なサービスを考え、発信していかなければならないと思うんです。

キャリコンサロンは、スキルアップの勉強の場であると同時に、キャリコンに関するあらゆる交流やイベント、PRに本気で取り組んでいる団体なので、これからもその活動に積極的に関わっていきたいと思っています。

-それでは最後に、キャリコンを目指している方とキャリコンサロンに興味を持たれている方にメッセージをお願いいたします。

キャリコンを目指されている方にはひと言だけ。「それは何のためなのか?」を明確にしておくということです。

私がコンサルファームで一番印象に残っているのは、「コンサルタントは職業ではなく”あり方”だ」という言葉です。「コンサルタントという肩書ではなく、人としての”あり方”を経営者は見ている」と。それが今の私の職業観であり仕事の軸でもあります。”あり方”がブレない人は、何をするにも、この「何のため」という目的観が明確です。

資格受講のきっかけは何でもいいんです。それが会社や上司の指示であったとしても。 仮にキャリコンとして活動する機会がない職場だとしても、自分なりのキャリコンとしての「あり方」が定まっていれば、学んだことや身に付けたスキルは様々な力になってくれるでしょう。5年後、そして10年後に振り返った時に、「この資格を取ってよかった」と思える。そんなキャリアコンサルタントという資格を多くの方々が手にしてほしいと思います。

今後、キャリコンが活躍の場を広げていくためには「影響力」が大事になると思います。5人より10人、10人より100人で声を上げた方が世の中に届く可能性はずっと高くなりますし、どうせ集まるなら同じ志を持った人が集まった方がより大きなことにチャレンジできると思いますから。
だからこそ、どこの団体に入ろうかなと迷っておられるのであれば、ぜひキャリコンサロンを選んでほしいですね。キャリコンに強い思い入れがある素敵な仲間が増えることを楽しみにしています!

-川井さんありがとうございました。

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