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【ふくしま復興・応援プロジェクト②】私の福島復興への思い

キャリコンインタビュー

2024.08.06

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キャリコンサロン「ふくしま復興・応援プロジェクト」のインタビュー企画第二弾です。

 

今回は、福島県出身の児山さん、高校時代に東日本大震災を福島で経験されました。大学を卒業後、宮城の会社に就職。その会社で約5年間採用担当を中心に仕事をされていましたが、「人事として幅広い経験を積みたい」という気持ちから転職をしました。福島復興への想い、キャリアに対する考えについて、ご自身の経験をもとに語っていただきました。

語り口がとても穏やかで、誠実に仕事に向き合いながら、福島との今後の関わり方にも目を向けられている姿勢がとても印象的でした。

 

第一弾(渥美敬之さん)はこちら⇒ 震災の経験とキャリコンネットワークの広がり

「大変な事態が起きている」

「東日本大震災の当時のことをお話いただけますでしょうか?」

私が震災を経験したのは高校2年生の3月でした。そのときは部活の練習中で競技場にいました。電車は動かず、道路は傷み、電話も繋がらない、自宅までは普段であれば電車と徒歩で1時間半ぐらいの距離なのですが、その日は帰宅が夜の10時か11時くらいでした。すぐには情報が手に入らず、何が起きているのか理解するまでに時間がかかっていましたが、大変な事態が起きているという漠然とした強い不安があったことを覚えています。

「児山さん自身も、当日は詳しい状況がわからなかったということだったんですね」

そうですね。私の住まいは福島県の中でも比較的影響は少なかったのですが、当日の帰り道でたまたまテレビ中継を見て、いたるところで火災が起きていたり、津波の映像が映し出されていました。『ああ、これはやっぱりただ事じゃないぞ』っていうことを実感しました。ショックや恐怖を感じて、泣いている方もいました。

「原発事故の目に見えない不安」

「福島といえばやはり原発事故の影響が心配だったと思いますが、どのような状況だったのでしょうか?」

原発事故と放射性物質の影響は不安でした。一方で、目には見えないことなので、正直実感があまり湧かない部分もありました。避難する方、今後を心配する方がいらっしゃるなか、事故に関連した報道が連日続きました。チェルノブイリの原発事故を知っている方は『ちょっとやばいんじゃないか』という話をしており、後発的に健康被害が出てしまうのではないかと不安視する声も聞きました。

当時、学校では屋外の授業が中止になりました。当時は言われるがままでしたが、極力外に出ない、という過ごし方でした。

「原発に近いエリアから避難された知人の方などはいらっしゃいますか?」

避難して仮設住宅に移った知人がおりました。徐々に制限区域への立ち入りが緩和・解除されているエリアもありますが、実際に戻ることができるかというと、ヒト・施設・サービスなど、住むにあたっての様々な環境が様変わりしていると思います。例えば、以前は利用していたお店が営業していないだけでも日常生活に影響がでることもあります。そのような状況下で『戻る・帰る』の選択がどれだけ出来るのか、厳しい現実に直面していると思っています。

「福島から東京の大学へ」

「高校時代に震災を経験された児山さんですが、高校卒業後、福島から東京の大学へ進学されました。その時はどのような心境だったのでしょうか?」

地元が心配ではあったのですが、法律を学びたいとの思いから東京の大学で学びたい、頑張ってみたい、という気持ちがあり進学をしました。進学をさせてくれた親には心から感謝をしています。

「就職先に選んだ人事の仕事」

「大学を卒業後、就職された会社での仕事は人事ということですが、どうして人事を選ばれたのでしょうか?」

自分なりの就活軸を持って、たくさんの会社へアプローチをしていくなかで、『この会社で採用担当をやりたい』と思える採用担当の方・会社との出会いがありました。とても誠実で、直感的にすごくかっこいいと感じました。学生にとことん寄り添った採用活動をしている印象でした。

『これだけ学生目線で対応してくれる会社は、きっとお客様にとっても、社員にとっても同じ目線で寄り添って仕事をしているのではないか』と感じました。この会社でいつか人事をやってみたいと憧れて入社を決めました。

「実際に人事の仕事を経験されていかがだったのでしょうか?」

第一志望だったその会社は、就活時代に描いていた通りの社風で、とても充実感をもって仕事ができました。辛かった時期もありましたが、先輩方にとても恵まれて社会人としての基礎をたくさん学ばせていただきました。また、実際に約5年間採用担当を経験することもできました。

採用の仕事をしているなかで『人事として仕事の幅をもっと広げたい』という気持ちが強くなり、転職して現在は、労務・評価・制度・健康管理・採用・異動など幅広く人事の仕事をしています。

「人事の幅を広げられ、ますます活躍されている児山さんですが、キャリアコンサルタントの資格を取得しようと思われたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?」

キャリアを考えることは、誰にとっても大切なことであると大学時代から考えておりました。様々調べていくなかで、キャリアコンサルタントという資格を知り興味を持ちました。時間や費用を検討して大学生の時は資格取得に挑戦しませんでしたが、いつか必ず取得したいと考えていました。

そして、人事の幅を広げようと転職したタイミングで挑戦し、2023年12月に資格取得しました。

「キャリアコンサルタントの資格を取得して変化したことはありますか?」

人事業務を行ううえで、相談者・面談者への向き合い方が変わったと思います。意識して感情に寄り添う、関係構築を行う、一方的なアドバイスではなく相手が自ら気づく、といった支援の意識が強くなったと感じます。資格取得を目指す過程で、座学的な知識のみならず、実技やロープレを通じて実践的な経験値を増やせたことも大きいと感じています。

「キャリアコンサルタントができること」

「これからのことについてお聞きしたいのですが、キャリアコンサルタントとして今後の福島とどのように関わっていきたいですか?」

若い方々が自身のキャリアについて考えたり、表現する場がまだまだ少ないと思っています。福島も例外ではないと思っています。想いがあっても、なかなか表に出せないのか、出さないのか、また表現に悩んでいるのか。そもそもキャリアを考えようとするきっかけや機会が身近にあるのかどうか、そんな印象や懸念を感じています。

私が描きたい未来のひとつに、自分の考えるキャリアを誰もが具体的に言語化でき、そこに挑戦して、実現できる社会になることがあります。現在は本業に集中しており、具体的なアクションは行っていませんが、いつか自分の経験も活かしながら、それらの実現に向けて相談者と伴走、福島とリモートであったとしてもコラボできたらいいなと漠然と考えています。

「HRラボも『ふくしま復興・応援プロジェクト』としても活動しているのですが、そのためにできることはどのようなことが考えられるでしょうか?」

私は福島生まれではあるものの、福島で働いたことがないので感覚的な話になるのですが、支援には『つながり』が大事だと思います。また、『現地の方が主体的に活動していることへの支援』というスタンスも大事なのではないでしょうか。

まずは、HRラボと近い志や領域で活躍されているキーパーソンを見つけ、その方が現在取り組まれていることの応援から始めるのがよいと思います。また、私たちキャリアコンサルタントが支援できることについて、はじめは対象者と属性を絞って提案する、ということも考えられます。

「そういう方々とパイプを作るところから始めるのが必要、と感じていらっしゃるのですね」

まず関係を築いていき、議論し、そこで必要があることに対して私たちができることを応援する。それを継続しながら『さらにできることは何か』を考える、そんなステップを踏んでいくのがよいのではないでしょうか。

それと、キャリアを考える福島の若い世代(中学生・高校生・大学生)とフランクに話せる場作りができるといいなと思っています。リモートでもリアルでも対話の機会を作って継続することで、キャリアに関する有資格者としての活動につながっていくと考えます。

「これからの思い」

「人事の仕事で活躍されている児山さんですが、これからの想いをお聞かせください」

現時点で考える自分のミッションは、組織において、人と事業に「人事」の機能を駆使して貢献し、事業を成長させていくことです。特に個人に対しては、伴走の気持ちをもって接することと考えています。

今はまだ具体的なアクションを描けていませんが、福島×キャリコン×人事の経験で、できることがないか模索していきたいと思っています。まずは声に耳を傾けることからと思うので、福島の若い世代やキーパーソンとフランクに話してみたいと思っています。私自身もHRラボ、キャリコンサロンの皆さんとの関わりから学びを得て、将来貢献できることを増やしていきたいです。今後の活動を応援しております!!

これからもHRラボの中で一緒に関われることを楽しみにしています。



インタビュー:
キャリコンサロン「ふくしま復興・応援プロジェクト」メンバー
・宮川修/神奈川県/経歴:電機メーカー46年勤務。2023年8月に退職して現在は個人事業主として活動中/プロジェクトに参加したきっかけ「お世話になった方々へ恩返しの思いで参加しています」
・有吉奈津子/福岡県/経歴:現在IT関連企業に勤務。治療と仕事の両立支援(JCDA)等で活動中/プロジェクトに参加したきっかけ「大震災以来、遠方からでも何かしら支援したいと思っていました」