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「ウェルビーイング」の実現で会社と個人の生産性・創造性を高めるために

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2020.08.02

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従業員の生産性を高め、意欲・能力を発揮できる環境をつくるための方法として、well-being(ウェルビーイング)という概念が注目されています。

今回は、well-being(ウェルビーイング)とはどのような概念なのか、従業員にとってどんなメリットがあるのか、また、ウェルビーイングを高めるために企業や個人ができることについてお伝えします。

well-being(ウェルビーイング)とは

ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態であり、満足した生活を送れることを指します。世界保健機関(WHO)憲章では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること(日本WHO協会:訳)」と定義されています。

well-being(ウェルビーイング)は「幸福な状態」を表すものですが、同じ幸福を表す「happiness(ハピネス)」とは少し意味が異なります。happiness(ハピネス)は、嬉しい・幸せといった心理状態(短期間)を表す言葉なのに対し、well-being(ウェルビーイング)は、心身ともに健康で良好な状態(長期間)であることを指します。

なぜ今、ウェルビーイングが注目されているのか

企業の側面

日本は少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少しています。企業は採用が困難な状況で、慢性的な人手不足となっています。一方で、ITの進化やグローバル化の進展によりビジネスの競争環境は激化しています。そのため、企業は従業員に対してこれまで以上に生産性の向上や業務の効率化を求めるようになっています。

また、一定の品質を備えた製品やサービスが消費者から求められていた時代(高度経済成長期)は終わり、現代は消費者のニーズが多様化しています。企業は消費者のニーズを満たすべく、新しい商品・サービスを創造的に生み出すことが求められています。そこで必要になるのが、従業員の創造性や革新性です。そこで、従業員の生産性や創造性を高めるための1つの方法として、ウェルビーイングが注目されています。

個人の側面

高度経済成長期では一般的だった、サービス残業など自己犠牲をしてまで会社のために働くという価値観は、現在では否定されてきており、働く意義や働き方の価値観が多様化しています。一人ひとりが「自分らしい働き方・キャリア」が実現できる環境を求めています。

そのため、心身ともに健康な状態でいることを目指すウェルビーイングの考え方は、従業員の側からも大いに歓迎される傾向にあります。

従業員がウェルビーイングを得ることによるメリット

アメリカや日本でウェルビーイングに関する多くの研究が行われており、「幸せな社員は不幸せな社員よりも、労働生産性が1.3倍高い」という研究結果や「幸せな社員は不幸せな社員よりも、創造性が3倍高い」という研究結果が出ています。つまり、従業員がウェルビーイングを得ることは、生産性・創造性を高めることに繋がります。また、心身ともに健康な状態になれば、仕事だけではなくプライベートも充実させることができ、人生が豊かになります。

また、職場でのストレスの多くは人間関係によると言われますが、一人ひとりが心身ともに健康な状態であれば、職場の人間関係も大きく改善されることが期待できます。

企業としての取り組み例

従業員のウェルビーイングを高めるための企業の取り組み例をご紹介します。

労働法の遵守、働き方の多様化への対応

従業員を雇う企業にとって労働法を遵守するのは当然の責務です。しかしながら、実態をみてみると、労働時間が長くなっていたり、有給休暇がとりづらい環境になっていたりすることもあります。現在、厚生労働省が推進している働き方改革の中でも「時間外労働の上限規制」が設けられることになりました。従業員が心身ともに健康な状態であるためには、ワークライフバランスが重要です。また、労働法だけではなく、企業独自で働き方の多様化に対応することも増えています。家庭の事情による時短勤務を認める制度や出勤時間を柔軟にするなど、「自分らしい働き方・キャリア」を求める従業員にあった制度をつくることも従業員のウェルビーイングを高めるために効果的です。

ストレスチェック制度の実施

常時50名以上の労働者を雇用している事業所は従業員に定期的にストレスチェックを行うことが義務づけられています。制度の対象外となる従業員規模の企業でも、この制度を利用することで従業員のストレス度を把握することができウェルビーイングを高めることに繋がります。また、従業員は自分の心身状態を把握する良い機会になります。

福利厚生などの社内制度の見直し

すべての従業員が平等に利用できる社食サービスを導入し、社員間のコミュニケーションを活発化させている企業も増えています。また、生産性向上や創造性を高めるためのスキルアップの学びに補助を出したり、自分らしいキャリアを考える機会となる「セルフキャリアドック制度」を導入したりするなどの福利厚生制度の見直しも、ウェルビーイングを高めるうえで有効な取り組みです。

個人として取り組めること

ウェルビーイングは企業側が行う制度や環境づくりでしか高めることができないかというと、そうではありません。個人でもできることがあります。

積極的に「雑談」を行う

仕事を遂行することだけを考えれば、指示・命令に従い、必要な事柄だけを話せばタスクを終えることができます。仕事中に「雑談」をすると「雑談をしている暇があったら仕事をしろ」と言うような会社もあるかもしれません。

しかし、実は「雑談」の少ない組織は、社内がギスギスした空気感にあり、指示されたことだけを淡々とこなす風土になりがちです。「雑談」は相手の人となりをより理解することに繫がり、感情的な結びつきを強くする効果があります。組織の中に信頼関係をベースにした風土ができあがります。何気ない会話から新たなアイデアが生まれることもあります。「雑談」により感情的な結びつきを強くし、信頼関係をつくることは、心が満たされている状態、ウェルビーイングを高めることになるのです。

1日の終わりに「感情」を振り返る

仕事をしていると1日の終わりに「to doの振り返り」をすることがあると思います。仕事とはタスクの実行の繰り返しなので、これはとても大切な営みです。ただ、こればかりやっていても、「やるべきことがまだ終わっていない」「仕事がまだこんなにある」など、ネガティブな感情になりやすい側面があります。
そこで、ウェルビーイングを高めるためにお勧めなのが、1日の終わりに「to feelを振り返る」ことです。具体的には、「to doの振り返り」と同時に、どのような体験があったのかを感情とともに振り返ります。

・楽しく笑いながら仕事ができた
・仲間から感謝された
・自分の仕事ぶりを上司に褒められた

などのポジティブな体験の感情を振り返ることでウェルビーイングを高めることができます。時にはポジティブな体験だけではなく、ネガティブな体験もあるかもしれません。その時は悲しい感情になりますが、悲しいという感情を振り返ることも大切です。嬉しい、悲しいなどの感情の多様性に気づくことで心身ともに健康な状態に近づいていきます。

最後に

ウェルビーイングは企業にとって従業員の生産性・創造性向上のために重要な考え方であると同時に、個人にとっても「自分らしい働き方・キャリア」を歩むための土台となる考え方です。企業がウェルビーイングに着目し、効果的に制度や環境を整備し実践することで、従業員のモチベーションアップや生産性向上につながります。そして、従業員が「自分らしい働き方・キャリア」を歩めていると感じることができれば、帰属意識が向上し、離職率を低下させることができます。

企業と個人、それぞれでウェルビーイングを高める活動を行うことで、生産性・創造性の高い職場環境を実現し、一人ひとりが自分らしい働き方・キャリアを歩んでいけるようにしましょう。

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