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今どきの新人を成長に導く「共創型OJT」のポイント

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2020.05.22

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新年度に入り、多くの企業では新入社員を育成するためのOJTを実施している時期でしょう。

世の中に目を向けてみると、ITの進化やグローバル化の進展などビジネス環境の変化が激しくなってきています。個人の働き方やキャリアに対する意識も多様化してきており、従来のOJTのやり方では新入社員を成長させることが難しいと感じている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

 

OJTの取り組み方次第で、新入社員が会社にとって欠かせない戦力として大きく成長し組織の生産性が向上することもあれば、逆になかなか成長させることができず、いつまでたっても手がかかり、生産性がかえって落ちてしまうということもあります。

そこで今回は、今どきの新人にOJTを実施する上で大切な視点や上手な指導方法などをお伝えします。

OJTを機能させるための最も重要なスタート地点 ~「あるべき姿」の設定と共有~

OJTの正式名称は「On-the Job Training」
新入社員に対して、先輩社員がOJTトレーナーとなり業務に必要なスキルや仕事のやり方を教えていく手法です。OJTトレーナーには入社3~5年目の若手社員を起用している企業が多いと思いますが、例えば以下のような形で任せてしまっているケースがよくあります。

『Aさん、今年入ってくる新入社員のBさんの育成(OJT)を君に任せたいと思っている。自分が教わった通りに指導して一人前に育ててやってくれ』

上司からのこのように任された若手トレーナーは、どのようにOJTを実施すればいいのかわからず、場当たり的に新入社員の育成に関わってしまいます。これではOJTが成果に繋がらないことは目に見えていますよね。

“教わった通り”とは具体的にどういうことなのか、“一人前”とはどういう状態を目指せばいいのかが非常にあいまいです。

OJTを効果的に実施していくための重要な第一歩は、「OJTのあるべき姿」を設定し、それを組織全体、トレーナーにしっかりと共有することです。「OJTのあるべき姿」とは、「OJTが機能している理想の組織」を言語化することです。人事部門が主体となり、新入社員にどのような人物になってほしいかを考え、また、トレーナーにOJTを通してどのように成長してもらうかもあわせて描くことが大切です。

「OJTのあるべき姿」を描く上で注意すべき2つのポイントとは?

「OJTのあるべき姿」を描く上で、注意すべきポイント2つのポイントがあります。それは、OJTの受け手である「新入社員側」と「トレーナー側」双方の傾向を正しく理解した上で描くことです。

1つ目のポイント:「新入社員側」~今どき新人の5つのメンタリティ傾向

今どきの若手世代は、厳しい環境で一方的に指示だけを受けることや、自分のことを否定されることへの耐性が弱い傾向にあります。また、残業を嫌い、定時で帰り自分のプライベート・趣味の時間を充実させたいという気持ちが強かったり、指示やマニュアル通りにいかないことが起きた場合に柔軟に対応できなかったりといった傾向があります。

そんな今どき新人のメンタリティ傾向を5つにまとめてご紹介します。これはレッテルを貼るためのものではなく、あくまで若手世代を理解するための1つのツールとして捉えていきましょう。

傾向その①「そこそこで満足」

指示されたことは素直に取り組むもののそれ以上のことはやらず、そこそこで満足します。決して手を抜いているわけではないものの、上司から見ると物足りず80%くらいに見えてしまいます。そのため、100%のレベルとはどのような状態かをきちんと伝える必要があります。

傾向その②「正解を教えてください」

わからないことは何でもインターネットで検索して答えを見つけてきた世代なので、すぐに正解を求めがちです。自分で考える力が鍛えられていない傾向にあります。社会には正解がないことのほうが多いことを伝え、自分で考える癖をつけさせないといけません。一方で、情報検索、キーワードの関連付けには慣れているため、情報整理・処理能力には長けているため、このようなタスクはお願いしやすいでしょう。

傾向その③「気軽で楽なコミュニケーションを好む」

思考や感情が表に出ず、何を考えているか分かりづらいという特徴があります。インターネットやモバイル文化の中で育ってきており、情報は文字や絵でやり取りすることに長けており、好きな人とだけコミュニケーションをしてきています。そのため、人前で叱られることを嫌い、1対1の対話を好む傾向にあります。

傾向その④「承認欲求を満たしたい」

経済的に恵まれている世代でもあり、もともと満たされていることが多い分、足りない状態から満たされていった経験が少なく、承認欲求が強い傾向にあります。そもそも自分が望むものが何かもあいまいなため、社会へ貢献することで満たされるのではないかという憧れを強く持っています。これは、新人教育を行う上で非常に重要なキーになります。仕事の社会的意義、やりがいを感じてもらい、目の前の人が自分を認めてくれる安心感を得られたときには力を発揮します。

傾向その⑤「否定されたくない、怒られるのが怖い」

対人ストレスに弱く、叱られることに慣れておらず「人格否定」のように受け取ってしまう傾向があります。否定されることを恐れるあまり素直にわからないと言えずに勝手にプレッシャーを抱えてしまいます。気軽に相談できる環境づくりを行い、そのプレッシャーを取り払うことが大切です。

このような今どきの新人の5つの傾向を理解した上で、彼らの良さに目を向けて、そこを粘り強く支援し、関わっていくことが大切です。

身近な誰かに認められると力を発揮する傾向にあるため、新入社員×若手OJTトレーナーの間で良好な関係を築くことができれば、相乗効果が生まれ、共に成長する「共育」が期待できます。

2つ目のポイント:「トレーナー側」~若手トレーナーが陥りがちなマインド傾向

多くの企業では、これまでOJTトレーナー役を担っていた中堅社員が管理職となり、その結果、入社3~5年目の若手社員が起用されることが多くなってきています。若手社員がOJTトレーナーになるということは、プレイヤー業務をしつつ新人指導もするという負荷の高い状態です。

「OJTを担当しても業務が減らされるわけでもなく大きな負担を感じる」
「人事考課は成果でしか評価されないのに、何で自分がOJTの担当なのか」

など、自身のプレイヤー業務で成果を求められているだけに、新人教育に対するマインドセットが低くなりがちです。

人事担当者はこのような若手社員の実情を理解した上で、OJTトレーナーを通して若手にどのように成長してもらうかを考える必要があります。なぜ自分が?という気持ちが強くなる傾向にありますので、例えば、「ゆくゆくリーダーになることを見据え、部下育成の経験を通してコミュニケーション力やリーダーシップのスキルを高めてもらいたい」といったOJTを行う意義、“Why”をしっかりと伝えることが効果的です。

今どきOJTの上手な支援、関わり方とは?

若手トレーナーは経験が浅いため、OJTを行う意義のマインドセットができた後は、新人とどのように関わるのかの“How”についても支援できるとさらに良いでしょう。

新人教育をしていく上で、使用する機会が多いのは教える技術である“ティーチング”です。しかし、ティーチングで教えてばかりだと新人が指示待ち受け身になってしまい、自ら考えて主体的に動くことができない人材になってしまいます。そのため、相手に問いを投げて引き出す“コーチング”の技術を使いバランスよく教育していくことが求められます。

コーチングは新人教育に限らず、広く使える人材教育スキルとして近年注目されています。OJTのトレーナーによって教育の手法や水準が異なると新入社員の成長にもバラつきがでてきますので、外部のセミナーや集合研修などをうまく活用しトレーナーを教育することをお勧めします。

また、人事担当者だけでなく、管理職である上長が新人・トレーナーに積極的に関わることで、気軽に相談できるような環境を整えることも大切です。そこで効果的な施策の一つが、以前にコラムで紹介した「1on1ミーティング」です。1on1ミーティングを定期的行うことで、新人・トレーナーともに経験を振り返り、そこから学びを得ることができます。上長もOJTで今どのような問題が起きているかを適切に把握し支援の手を差し伸べることができるようになります。

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従来型OJTから組織全体で育てる「共創型OJT」へ

価値観が大きく変わっていく新入社員、若年化するOJTトレーナー。この組み合わせの中で行うOJTの取り組みの中で、新入社員とトレーナーともに成長してもらうには、人事部門の働きかけと、上長による関わりが必要不可欠です。つまり、これからのOJTをキーワードにすると、組織全体で育てる「共創型OJT」と言えます。

「共創型OJT」をデザインするために、押さえておきたいポイントをまとめると次の3つです。

1)「あるべきOJT像」を明確にし、新入社員、OJTトレーナーの成長ゴールイメージを組織全体で共有する

2)OJTトレーナーに教育スキルを身につけるための支援を行う
(例:OJTトレーナー集合研修)

3)上司・先輩が新人・OJTトレーナーに関わる体制をつくる
(例: 定期的な1on1ミーティング)

社会環境の変化が激しく、働き方、組織のあり方が複雑化している中、これまでのOJTがうまく機能していないと感じたら、本コラムを参考にしていただき、従来型OJTから「共創型OJT」をデザインしてみることをお勧めします。

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