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組織力UPへ!チームの発達に合わせた「チームビルディング」

定着

2020.01.31

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「メンバー一人ひとりは有能なのに、チームとして思うように成果をあげられていない」

「昨年まではうまくいっていたのに、今年になってメンバーがうまくまとまらない」

 

こうした悩みを持つリーダーやマネージャーは多いのではないでしょうか。 メンバーがチームとして協力し合うことができれば仕事の成果は格段にあがっていきます。そのため、個々のメンバーをチームにしていく「チームビルディング」に取り組む企業が増え始めています。

 

今回は、組織力を高めるためのチームビルディングの重要性や、チームのビルディングを行う上で意識すべきポイント、取り組み例についてお伝えします。

なぜ「チームビルディング」が大切なのか?

かつての右肩あがりの高度経済成長期の時代では、リーダーの指示によりメンバーそれぞれに個人目標が与えられ、それを達成することで組織として十分な成果をあげることができました。

しかし、現在はITの進化やグローバル化の進展などにより、私たちを取り巻く環境がめまぐるしく変化をしています。考慮すべき事柄、選択肢が複雑に絡み合う中、個人の能力だけでは成し遂げることができない難しい目標もあります。
これを達成するには、チームとしての組織力を高め、チームが一丸となって成果を上げる必要があります。そこで重要になるのが「チームビルディング」です。

このチームビルディングを考える上で、まずは「グループ」と「チーム」の違いをおさえておきましょう。

「グループ」と「チーム」ともに、人が集まっている状態であることは共通していますが、決定的に異なる点があります。

それは、「グループ」は、「共通の目的で集まっている集団」に対して「チーム」は、「〝共通の目的〟を持った人が集まった上に、さらにその目的を達成するためにメンバー同士が協力しあう〝相互の信頼関係〟ができている集団」という違いがあります。

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そのような「チーム」として、きちんと機能をさせていく上で、チームを作るための「チームビルディング」が大切となるのです。「チームビルディング(Team building)」は日本語に直訳すると、「チームを構築する」という意味です。

先ほどあげたチームの特徴を踏まえてさらに具体的に言うと、目指すべき共通の目的に対して、メンバーそれぞれが能力・経験を最大限に発揮し協力し合える状態をつくることです。

そのため、新しいチームやプロジェクトを結成した時にはチームビルディングが必要になります。また、チーム内の雰囲気が悪く成果が出ていない中で、「ポジティブな変化」を起こしたい時にも有効な取り組みです。

そして、個々の能力の「足し算」では達成できない難しい目標を達成したい場合にもチームビルディングが求められます。チームビルディングによりメンバー同士が相乗効果を生み出すようになると、「掛け算」での成果をあげることができるようになります。

チームのビルディングを行う上で意識すべきポイント

アメリカの心理学者のタックマンは、チームビルディングには4つの成長段階(後に、5段階)があると提唱しています。これを「タックマンモデル」と言います。チームビルディングを進める上で、まずはチームが今どの段階にあるのかを見極めることが大切です。
各段階をクリアしていくことで、チームが機能しはじめ、最高のパフォーマンスが発揮できるようになるというモデルです。

1.〝形成期〟(Forming)

チームが結成されたばかりの最初の状態。メンバーはまだ互いのことを知らず、不安や緊張、遠慮が見られます。お互いに本音を出さずに様子見をしている段階です。表面的なコミュニケーションをとる傾向にあり、活発で有意義な議論は難しい状態にあります。この段階では、リーダーが主導となり共通の目的を定めることが重要です。そうすると、メンバーそれぞれが目的に向かうための課題についての解釈を始めます。

2.〝混乱期〟(Storming)

この段階ではメンバーそれぞれが自身の目標に向かって進み始めます。そうすると、それぞれの仕事に対する考え方や、業務の進め方が異なることが気になり始め、意見の衝突が起きます。次の段階に進むためには、意見の対立を恐れずに議論を通じて相互理解を深める必要があります。

3.〝統一期〟(Norming)

意見を出し合うことでお互いの価値観や考え方への相互理解が深まり、チームの目標やその達成に向けた一人ひとりの役割が明確になってきます。この段階になると、チームとしてのまとまりができ、リーダーによる規律やルールが定着する段階です。この時期には、それまで発言していなかった人から積極的に発言が出るようになったり、笑いや議論が自然に起こったり、チームが活性化してきます。

4.〝機能期〟(Performing)

チームが機能して成果が生まれます。チームとしての成功体験ができ、リーダーの指示がなくてもメンバー同士で自律的に動き、相乗効果によりさらに大きな成果が生まれる状態になります。統一期では、リーダーによって規律やルールが提示されましたが、この段階ではチーム自らが規律を生み出します。

まずは、自チームがどの段階にあるかを冷静に見極めることが必要です。その際には周囲からの声に耳を傾けることは大切となるでしょう。その段階に応じた「関わり方」が、はやく効果を生むためのチームへと成長速度を速めるのです。

「混乱期」をしっかりと乗り越える!

特に、このチーム形成にあたり重要となってくるタイミングが、〝混乱期〟です。これは次のステップへ進むために必要なプロセスであり、この段階をいかに乗り越えることができるかが、成果の出るチームになるための最重要ポイントになります。

リーダーからすると、メンバー同士の意見の衝突は避けたいというのが心情だと思います。しかし、意見の衝突が起き始めたら、それは健全に〝混乱期〟に突入している証拠だと認識し、それを乗り越えることにフォーカスしてみましょう。

〝混乱期〟を乗り越えるための取り組みは様々ありますが、一つご紹介します。

お互いの衝突が起き始めた時に、「フィードバック」の習慣化を促進する方法です。フィードバックとは「評価を本人に戻してあげる」ことを意味し、相互理解を深める上で非常に有効です。

フィードバックする上で重要なポイントは、「あなたは○○」と伝えるのではなく、「私は○○だと思った、感じた」など、「私」を主語にすることです。あなたを主語にすると、「あなたは○○すべきだった」といった否定的なニュアンスで相手が感じてしまうからです。

一方、「私はこういう状況なので協力してほしい」という“Iメッセージ”で言われれば「そういう状況であれば何とかしてあげたいな」と、相手のことを考える余裕が生まれ、相互理解が促進されます。お互いの相互理解を深め、受容しあうことで、違いを乗り越えて多様な価値観の中でも統一したルールを見いだしていくことができます。


チームビルディングを行う上でもう一つ忘れてはならないことがあります。それは、「新しいメンバーを迎えたチームは〝形成期〟の段階に戻る」ということです。

「昨年まではうまくいっていたのに、今年になってメンバーがうまくまとまらない」

こうした悩みが出てくるのは、〝混乱期〟を乗り越えて機能しはじめたチームであっても、新たなメンバーが1人加わることで最初の〝形成期〟に戻るからです。このことをリーダーは認識しておきましょう。

もしかしたら、自分のチームに新しく加わる人は、経験豊富なベテランだから大丈夫だと思われる方がいるかもしれません。しかし、今いるメンバーの仕事の進め方と新たに加わる人の仕事の進め方の間には少なからずギャップがあります。メンバーはそのことがまた気になり始めるのです。

そのため、新しいメンバーを加えたチームは、再び〝混乱期〟を乗り越え、統一された目標に向かうべくチームビルディングを行う必要があります。

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チームをつくる経験はキャリアにおいて貴重な財産になる

キャリアコンサルティングを行う中で、多くのリーダーからチームづくりに関するご相談をいただきます。よくよくお聞きすると、チームの状態を客観的に見ることができずに、毎年同じような流れでチーム運営をしてしまっていることがあります。その際には、ぜひ一度「タックマンモデル」に合わせて、ご自身のチームの状態を見直してみることをお勧めします。

チームビルディングは一朝一夕にできるものではありません。複数の人の感情が複雑に絡み合う中で行う大変な営みです。しかし、大変だからこそ、チームを作り上げたときの達成感と経験は、キャリアの積み重ねの中でも貴重な経験、財産になります。