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【浅井塾コラム】これぞミドル・シニアの範!~プロティアンな生き様~#1

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2021.03.15

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「浅井塾」参加者には毎月のレッスンだけではなく、オンラインコミュニティにて、イベントや学び合いの場の提供、そして定期的な人事コラム配信などを予定しております。今回は、浅井塾コラムのをひとつお届けします。是非ご覧ください。

浅井氏から皆さまへのメッセージ

多くの企業の人事がミドル・シニアのマネジメントに悩んでいます。
その悩みのタネは、年をとり能力、体力、気力が衰えてきたことも多少はありますが、それよりも定年延長や再雇用により、長年培ってきた仕事や働き方を変えることができず、新しい業務にチャレンジしてもらえないことの方が大きいのです。

私は7年間にわたり、約2000人のミドル・シニア社員の悩みに触れ合い、また、約600人のマネージャに対し、ミドル・シニアの活性化法についてアドバイスを行うことにより、私の面談を受けてくれた9割の社員の行動を変えることができました。

今、人事部が本当に求めなけれいけないのは、社員の「行動変容」と「生産性向上」です。
研修を「やった」という手段をゴールに設定しているから成果が出ないのです。
研修だけでモチベーションを上げようとするのは浅はかな考えだと思います。
私がどのようにして、多くのミドル・シニアの行動を変えていったかという秘策をコラムや塾の中でできるだけ生々しい実態も含めお伝えしますので、参考にしていただけたら幸甚です。

浅井 公一

【浅井塾コラム】これぞミドル・シニアの範!~プロティアンな生き様~#1

私はこれまでNTTコミュニケーションズの企業内キャリアコンサルタントという立場で7年間、約2000人のミドル・シニアと面談を重ねてきました。
その中で「この人こそミドル・シニアのロールモデル」という人に何人か出会うことができましたが、さらにその中でも、「これぞ究極のプロティアンな生き様だ!」と心を打たれたAさんの人生観を紹介したいと思います。

■「プロフェッショナル」の定義

Aさん、男性、52歳。クラウドサービスの営業担当です。
超ロイヤリティ企業であるNTTという会社に約30年もいながら、「こんなにも会社の文化や慣習に染まっていない人材がいたのか」と驚くほどアグレッシブで、かつ、プログレッシブです。社外でも通用する「市場価値」を高めることが元気の源。
ですから、新技術の習得に余念がありません。大きな会社ですので、各分野に多くの社員を抱えているため、その中で専門性を追求するには「狭く深く」が王道ですが、Aさんはクラウドサービスの「セールス」という特定分野のプロフェッショナルだけを目指すのでなく、サーバ技術、セキュリティ技術、ネットワーク構築など販売するサービスに関わるすべての分野のプロフェッショナルにならないと気が済まないのです。

2つの分野でその第一人者になっていく社員は稀にいますが、4つ、5つの分野のトップを走っている社員はなかなかお目にかかれません。NTTコミュニケーションズでは分野ごとにかなり高いハードルをクリアすると「プロフェッショナル」として認定される制度があり、みんながその「プロフェッショナル」をひとつ獲得するために懸命になるのですが、Aさんはそれが3つ。
しかも、それ以外にもあと一歩で認定されそうなところまで来ている分野が2つ。「なんとかひとつプロフェッショナルを獲ろう!」と頑張っている社員たちとは「プロフェッショナルとは何たるものか」の考え方の次元が違うのです。

■人生を変えたナラティブ

Aさんが52歳になっても成長意欲が止まらないのは、若い頃、他企業に出向していたときの経験が大きく影響していました。出向先がNTTコミュニケーションズのような大企業ではなかったため、稟議や決裁、上への根回しに何日もかかることなく、収益に紐付くことであれば、ほぼ即決でトコトン追求させてくれる社風がAさんの価値観と見事にシンクロし、短期間でそれまで味わったことのない爆発的な成長実感を得たことが、自身の生き方、働き方の哲学を生むきっかけになっていたのです。

そしてAさんの凄さは、出向から戻って約20年経った今でも、その感覚を忘れることなく取り組み続ける姿勢です。それがあるからこそ、5つの分野で第一人者として君臨する離れ業が可能となっているのです。

■出る杭は打たれるどころか引っこ抜かれる時代

実はAさん。マネージャではありません。これだけのスキルを持ち、トップクラスの実績もありながら、マネージャになっていない。なぜでしょうか?
私の面談経験の中には、マネージャになると評価や労務管理などマネージャ特有のルーチン作業が発生し、その労力もバカにならないことから、敢えて昇進の話を断る人が少なからず存在しています。当然、Aさんもそのひとりだと思っていたのですが、Aさんには「昇進の話など1回も来たことがない」と言うのです。

「会社が儲かる仕事なら自分で判断してドンドンお客様先に出向いて商談をしてきてしまう。うまくいく話ばかりならいいけれど、当然、失敗することもよくあって、上司に迷惑をかけることもしょっちゅうだった。そういう自分の姿が、上司には異端児に映ったのでしょう」    
これがマネージャへの昇進に、たったの1回もお声がかからなかった理由だと自己分析しています。

NTTコミュニケーションズは昇進に年齢制限はありませんが、そうは言っても実態としてマネージャへの昇進適齢期は40歳前後。これは他の企業でも同じような傾向でしょう。
キャリアが問われるようになった今でこそ、このAさんのような行動を称賛するマネージャはたくさんいると思いますが、10年以上前。NTTコミュニケーションズだけではなく、当時の多くの企業では、こういった行動を評価すべきだという人がいたとしても、それは時期尚早だったのでしょう。

■この会社で上を目指すことは私にとって意味がない

実はAさんの本当の凄さは、昇進適齢期に自分の行動を異端児だと判断するこの会社で「上を目指すことに意味がない」と判断し、いとも簡単にマインドセットができたことです。
面談で私にこんなことを言いました。
「出世するために昇格基準を意識し、それに合わせようとするのではなく、自分が本当になりたい姿を貫いた方が後悔しない人生を送れる。私はとにかく売るために走り回るのが楽しくて仕方ない。そのためにはマネジメント能力を付ける暇があったら専門性を磨きたい。つまり、私がなりたい人材像と会社が求めている人材像は一致しないんです。マネージャになるために、なんで自分のポリシーを曲げなきゃいけないんですか!」

■自分だけの力でないことを冷静に判断できる

とにもかくにもAさんは、どの部署に行こうがどの立場であろうが、最新技術を究め、複合的にサービスを提案することにより、自分が所属する会社に利益をもたらすことを生きがいとしており、その会社がたまたまNTTコミュニケーションズという会社であるだけです。

Aさんがさらに立派なところは、自分の価値観と一致しない会社を憎まず、恨みもしない点です。自分のやりたい仕事をやるには、「NTTコミュニケーションズの名刺の力が必要」とも言っています。

Aさんは、オフの充実ぶりも目を見張ります。
NPO中間法人にボランティアとして災害対策や福祉に参画。しかも、その組織活動のファシリテータとして中心的人物もなっています。休日はほぼ全てこの活動に尽力されていることから、「遊ぶ暇がない」「1日24時間では全然足らない」というコメントがこれまた印象的でした。
動機は東日本の大震災。「60日間貯まっていた有給休暇は、震災後の2年間でボランティア活動のために全部使い切りました」と笑って話す表情がとてもカッコよくステキでした。

■永遠に居てほしい人

この生き様は、組織の上方向、つまり、役職や階級によって形成されるキャリアに固執し、それに不満を抱いたり悩んでいたりする人たちには是非、見習ってほしいものです。
また、組織の上方向にいる人たちであっても、役職定年や再雇用などの不安を持っている人も少なくないでしょう。しかし、Aさんのような哲学に今から切り替えることができる人は、再就職などの心配はいりません。なぜなら、そういう働き方をしてきた人は、他企業の人事が放っておかないからです。

まさにビジネスパーソンの鏡!

70歳まで、いや、生き様の語り部として、NTTコミュニケーションズにいつまでも居てもらわなければならない人材です。

『浅井塾』詳細/お申込み

3月10日(水)「浅井塾」開講プレイベント~ミドルシニア層のアップデートを実現する『人事担当の5つのしかけ』には、たくさんの方にご参加をいただきまして、ありがとうございました。また早速多くの方よりお申し込みやお問い合わせをいただきまして、大変感謝しております。

特に浅井氏から説明のあった「『ビジトレ』には、まだ自分のノウハウの5%ほどしか書けていない」という言葉…多くの方から反響をいただきました。その残りのまだまだ書ききれていない部分を、この浅井塾ではシェアいただこうと思っています!ぜひご期待ください。

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