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2020.01.25
コミュニケーションには、『共感力』が重要です。 傾聴を行うキャリアコンサルタントにはもちろん、部下育成などマネジメント層にも、この『共感力』が必要だと言われています。
しかし、この共感力について、正しく理解できているでしょうか? 今回は、共感力とは何か、改めて整理をしてみました。
また、信頼を得る強い「共感力」を持っている人の特徴についても、お伝えします。
「共感」とは、相手の感情や考えを自分も全く同じように感じとったり、理解を示すこと。
一方、「同感」とは、相手と同じ考えであることを強調することです。
一見、同じような意味の言葉として受け取られがちな、「共感」と「同感」ですが、この二つの言葉には、明確な違いがあります。
「同感」の場合では、「私もこういう経験があるから分かる」といったように、自分の経験に置き換えて、相手の考えを理解することになります。自分の経験を基に理解するので、価値観や人生経験の違いによっては、相手を理解するのに限界が生じることも。
しかし、「共感」の場合は、「あなたはこういう状況だから、こう思っているんだね」というように、そのままの相手の立場に立って感じることになります。主語は相手になるため、自分の価値観や経験が入ることなく、相手の気持ちや考えを理解することが可能です。
また、「共感力」と「共感」にも、差があります。
「共感力」とは、受け取った感情を相手に、きちんと言葉で伝え返してあげることです。相手の話から、どのように感じ取ったかをきちんと伝えることで、相手にも初めて「共感」してもらっていることがわかります。
伝え方の例としては、「話を聴いていると、あなたは○○と感じていて、△△したいと思っていることがわかりました」と言うようにすると、良いでしょう。
相手から受け取った感情を言葉にして返すことで、相手に共感しているという事をしっかり伝えられます。ここまで「共感力」を発揮できると、「自分の気持ちをわかってくれている」という安心感を相手に与えることが、できるのです。
強い「共感力」を発揮できる人には、さまざまな特徴があります。
共感力が高い人は、他人への好奇心が強いという特徴があります。
「この人はどんな人なのか」「どんなことを経験して、どんなことを考えているのか」
他人を知りたい気持ちから、初めて会った人でも、すぐに打ち解けられる人が大半です。
他人から学ぶことは、価値のあることだと、理解している人とも言えるでしょう。
共感力が高い人は、相手の気持ちに寄り添えるよう、話をじっくりと聴きます。
話を聴いている際は、相手の考えを否定したり、良い・悪いというように評価をしたりはしません。
ただ聴くだけでなく、相手が話しやすいように相槌を打ったり、質問したりすることが上手いといった特徴もあります。
結果的に、会話の7割は、聴き手に回っていることが少なくありません。
共感力が高いと、他人の気持ちや考えていることが、直感的にわかってしまうことも。
相手の雰囲気や表情・仕草・行動などの、言葉ではない部分からも、相手の感情・考えを読み取ることができます。
そのため、困っていた時に助けたり、言葉にできないことをうまく汲み取ったりと、進んで思いやりのある行動をとる人も多いです。
共感力が高い人は、感受性が強すぎるという場合も、少なくありません。
他人の気持ちを人一倍理解しやすいので、繊細で、傷つきやすい一面があります。
ちょっと責められたり、怒られたりしただけでも、気持ちが過剰に反応してしまうのです。
共感力が高い人は、自分を知って欲しい欲求よりも、他人を知りたい欲求の方が上回ります。
相手の話を聞くことを重視する傾向があるので、自己顕示欲や承認欲求が、比較的少ないと言えます。
共感力を発揮した場合では、会話が大きく変わってきます。
例えば、会社の同僚に「最近、会社に行くのがつらいんだ…」と言われたとします。
例)「わかる。曜日は特に会社に行きたくないよね」(自分中心の話題に変えてしまっている)
例)「前日、早く寝ないからだよ」(相手の気持ちを汲み取っていない)
と返答してしまう人、いるのではないでしょうか?
この場面において、共感力を発揮すると、返事の仕方はこう変わります。
例)「そうか、つらいと思う所があるんだね。もう少し話を聞かせてもらえる?」
例)「会社に行くのが、つらいと感じているんだね。詳しく教えてもらっても良いかな?」
共感力を発揮すると、『同僚はなぜ行くのがつらいのか?』『同僚はどうしてそう思うのか?』と先に考え、内容をより深く掘り下げていくような会話になります。相手の具体的な情報を知ることができ、さらに、相手の本当に言いたいことが見えてくるのです。
共感力を発揮するためには、日頃の会話の中で、次のような事を意識しておくと良いでしょう。
共感力が高い人のように、会話の7割は聴き役に徹することを意識しておくと、次第に共感力を発揮できるようになります。相手の言いたい事を先回りして予測し、相手が気持ちよく話せるように話を振る。そのためには、まず相手の話をよく聴き、受け入れることから始まるのです。
共感力を発揮するためには、相手の話を聴いて、自分も追体験できるぐらいの想像力が必要です。話の情景を明確にイメージできるようになれば、その時の相手の気持ちを理解するのに役立ちます。また、イメージしてみて、「ここがまだイメージできない」という部分があれば、質問する際の手助けにもなります。
「相手はなぜこんな行動を取ったのか?」「相手はこの場合、どう思うだろうか?」というように、主語を相手にして、話を観察する事を意識してみてください。すると、自然と相手が中心となり、自分の価値観や人生経験を入れる事なく、相手を理解することができます。
バックトラッキングとは、キャリアコンサルタントも使う、傾聴技法の一つです。
やり方は、相手が話した言葉をそのまま繰り返すだけ。
例えば、「仕事で自分の意見が通って嬉しかった」と相手が言った場合、「嬉しかったんですね」というように返答するのです。繰り返しているだけなので、自分の主観が入ることなく、相手を中心とした会話を進めることが容易になります。
共感力が発揮できてくると、「もしかしたら、こういうことを考えているかもしれない」というような疑問が出てきます。
その疑問を「ひょっとしたら」を用いて、相手に聞いてみると良いです。
「ひょっとしたら、○○について困ってない?」
「ひょっとしたら、本当は○○と思っている?」
そして、聞いた意見が一致した場合、相手には「自分の言いたい事をちゃんと理解している」と思ってもらえます。また、自分が共感できていたことの確認にもなります。
「共感力」を発揮しようと意識をすると、相手の気持ちがうまく想像できないこともありますし、感じ取った気持ちを言葉に表すことが、難しいと感じることもあると思います。
「共感力」まで高めたコミュニケーション能力を身に付けるためには、普段から意識した行動を取らなければ、十分に力を発揮できません。
会社の人との会話の場面や、家庭の中でのやり取り、友人との何気ない会話の中など。
普段の生活における会話の中でも、「相手はなぜ、その話をしたのか?」と興味を持って聴き、感じた事を言葉にして返してあげるよう、意識しておくことが大切になります。
「共感力」とは、日々練習を行うことで、徐々に身に付いていくものなのです。
コミュニケーションに重要な「共感力」を正しく理解し、日常的に会話の中で「今自分は共感できているか?」「受け持った感情を相手にきちんと返せているか?」と心に留めておく。
そうすることで、より円滑なコミュニケーションを取ることができるようになり、次第に人との深い信頼関係も築けるようになるでしょう。
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