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人的資本経営

2025.09.17

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建設業界は、社会インフラを支える重要な産業でありながら、今まさに深刻な人材課題に直面しています。

国交省の調査によれば、建設業従事者のうち60歳以上は全体の4分の1を占めており、ベテラン層の高齢化が進行。 一方で若手の入職者は減少し、せっかく採用しても3年以内に離職するケースが少なくありません。 これは単に「人が足りない」という問題にとどまらず、業界の持続可能性そのものを揺るがす課題といえます。

1.若手が建設業に定着しない主な理由

①キャリアの将来像が描きにくい

まず大きいのは、キャリアの将来像が描きにくいことです。現場配属された若手にとって「どのように成長していけるのか」が見えにくく、キャリアパスは不透明です。社内にロールモデルとなる先輩も少なく、特に女性や若手層にとっては参考となる事例が乏しいのが実情です。その結果、「このまま続けるか、それとも辞めるか」という二者択一の思考に陥りやすいのです。

②労働環境の厳しさ

次に挙げられるのが、労働環境の厳しさです。工期に追われる現場では長時間労働や休日出勤が常態化し、繁忙期には心身に大きな負担が集中します。特に若手は配属直後から責任を負うケースが多く、「支えられるよりも丸投げされている」という感覚を持ちやすく、これが離職につながる原因の一つです。

③育成環境の不足

さらに、育成環境の不足も見逃せません。建設業は「現場で覚えろ」というOJT文化が根強く、教育が属人的になりやすい傾向があります。上司や先輩も多忙で、体系的に学ぶ機会が限られているため、若手は「努力しても成長を実感できない」と不満を抱きます。

④処遇や評価制度に対する不満

また、処遇や評価制度に対する不満も定着を阻害します。長時間労働や大きな責任を負わされる割に低い給与水準、成果よりも年次で決まる昇進、努力や学びが正当に評価されにくい仕組みは、「頑張っても報われない」という感覚を生み出し、若手のキャリア意欲を削いでしまいます。

⑤業界イメージや働き方のギャップ

そして最後に、業界イメージや働き方のギャップも大きな要因です。若手世代は柔軟な働き方やキャリア選択を重視する傾向がありますが、建設業界は「きつい・危険・汚い」というイメージが強いです。DXや新技術の導入も進んではいるものの、現場レベルで恩恵を実感できる若手はまだ少数派であり、「魅力ある業界」として映りにくいのです。

こうした複数の要因が重なり合い、若手の早期離職を加速させています。

2.人材課題解決の実例紹介

「辞めない組織」から「伸びる組織」への転換を実現した事例です。経営課題としての人材定着をどう解決したのか、そのプロセスをご覧ください。

■ 事例①:中堅ゼネコンA社

A社では、若手施工管理職の入社3年以内離職率が25%に達していました。原因を調査すると、「将来像が描けない」「現場で孤立して相談できない」といった声が多く聞かれました。そこで同社は外部キャリアコンサルタントと連携し、年2回のキャリア面談を導入。面談内容を経営層へフィードバックし、人材配置や育成計画に反映しました。その結果、若手の不安が軽減し、離職率は15%まで改善しました。

■ 事例②:土木専門建設B社

B社では、育成が属人的で「努力が評価されない」という不満が多く寄せられていました。そこでパーソナル診断を活用し、若手の強み・適性を把握。その上でキャリア開発研修を実施し、熟練技術者を「メンター」として認定。若手とペアを組ませて技能伝承を仕組み化しました。その結果、技能士資格の取得率は1.5倍に増加し、定着率も大幅に向上しました。

3.解決のヒント

課題が多面的である以上、解決も一方向からでは不十分です。鍵となるのは、若手に「ここで働き続けたい」と思わせる仕組みをつくることです。
キャリア面談で将来像を明確化し、適性診断で配置を最適化する。技能伝承プログラムで成長実感を与え、評価制度を刷新して努力を可視化する。こうした取り組みが複合的に作用することで、若手は安心感とやりがいを持ち、組織に定着していきます。

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4.まとめ

建設業界の未来を支えるのは「人」であり、若手が定着するかどうかが事業継続の分岐点になります。
キャリアの不透明さ、労働環境、育成不足、評価制度の課題、そして業界イメージとのギャップ。これらを一つずつ解決していく取り組みが、業界全体の持続可能性につながっていくのです。
「辞めない組織」から「伸びる組織」へ。若手が安心して成長できる場をつくることこそ、建設業の競争力を未来へとつなぐ鍵になるでしょう。

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