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【浅井塾コラム】 #10 ずる賢い働き方

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2024.12.10

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HRラボでは、人事・キャリア支援者のための実践塾「浅井塾」塾長浅井の経験と深い考察をもとに、 実践的な知見をお届けする場としてコラムを定期発信しています。キャリア支援者や企業人事の皆さまが直面する課題に対し、新たな視点や実践的なヒントを提供することを目指しています。

 

今回のテーマは、「ずる賢い働き方」です。

「ビリギャル」の衝撃! 

2014年、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話、通称「ビリギャル」という、 後に映画にもなった本がベストセラーになりました。おもしろくて私は3回ほど繰り返して読み、映画も2回観たほどです。

「ビリギャル」の衝撃!

 2014年、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話、通称「ビリギャル」という、後に映画にもなった本がベストセラーになりました。おもしろくて私は3回ほど繰り返して読み、映画も2回観たほどです。私がそこまで引き付けられたのは2つの大きな衝撃があったからです。

①心理学を駆使すれば、諦めている人でもモチベーションを上げさせることができる!
②攻略法次第では、小さな努力で大きな成果をあげられる!

 この手の物語は、2005年に偏差値30台の高校生を東大に合格させるドラマ「ドラゴン桜」がありました。実話だと知り、一発逆転の爽快感が強烈で、これも大好きなドラマでしたが、そのとき私はまだキャリアコンサルの仕事を行っていなかったため、衝撃には至らなかったのです。ビリギャルは私が50代の社員にキャリア面談をちょうど始めた年に発売されたということで

「モチベーションが落ちている人をなんとかできないかな?」
「50歳を過ぎたら、残りの会社員人生の年月を考えると一念発起させるのは無理かな」
「成果でベテランが若手に対抗する方法はないかな?」

などと考えていた時期だったので、ビリギャルの2つの衝撃は「ガツン!」と来たのです。
この思考法をベテランたちに教えれば、自分で勝手に攻略法を導き出し、結果的にモチベーションも成果もあげてくれるのではないだろうか・・・・・・・・・・。

 年をとったなら「いかに楽をして成果を出すか」と考えればいい。パワーと技術力で若手と勝負しようとするからいけないんだ。

楽して勝てる能力を知る

 年をとっても若手に勝つためには、勝つ努力をするよりは、勝てることを見つける方が合理的です。

 私が何に対して人より長けた能力を持っているかを知ったのは、40代半ば。労働組合の分会長をやっていたときでした。組合は年に何度も組合員を集めた集会(当時、オルグと呼ばれていまいた)を行います。 

 そのとき、私はいつも「うまく話せなかったなぁ」「ちゃんと伝わったのだろうか?」と自己嫌悪に陥ったり、不安を抱いていたりしていたものですが、あるオルグの後に「浅井さんのオルグがほかのどんな役員の人にやってもらうよりわかりやすかった」という声をいただいたのです。
「えっ!?」と思ったので、その人に「そうなん?」と聞き返したところ、周囲にいたたくさんの組合員からも「すごく良かったです」という声が。
自分の強みを知った瞬間でした。自分では苦手だと思っていたことが、実は得意なことだったのです。

 それ以降、私は組合組織から渡されるオルグ用の資料を少し加工し、オルグの前にひとりでリハーサルを行ってからオルグに臨むようにしたところ、「ほかの人と全然違う」「ブッちぎりでいちばん上手い」「かなりプレゼンの練習をされていると感じた」等々、絶賛の声にまで発展していきました。 

 少ししか努力していないのに周囲から高い評価を得られたのです。

普通にしていて「凄い」と言われることもあることを知る

 年間300人と面談をすると他企業の人事の人から「凄いですね」とよく言われます。300人をどう変化させたかの以前に、数だけで「凄い」と言ってもらえるのです。でも、私にとってキャリア面談は本来業務。確かに面談が集中する時期は大変ですが、そういった時期は、他の業務をストップさせる裁量権も持っている。

 自分で「これ以上は難しい」と思える範疇でコントロールが可能なので、自分としては300人の面談はルーティンという感覚です。しかし、他企業の人事担当者にしてみれば、年間300人という数字は大変インパクトがあるようです。

 また、本当に悩み続けている人や問題児と接するときは、一人の面談で数時間かけて行うことも頻繁にあります。「最長10時間、面談した人もいます」と講演で話をすると、いつもどよめきが起こります。でも、繰り返しますが、私は面談が本来業務です。10時間面談だって、平均1時間の面談を10回やっただけ。それが同じ人に対して10回やったから、周囲の人が「伝説の10時間面談」と呼ぶようになっただけです。

 私としては、当たり前のことをしているだけなのに、他の誰もやったことないことなので驚かれるのです。自分にとっては普通のことをしているだけですが、誰もやったことがないことであれば、高く評価してもらえるのです。

「作業」は省力化し、「仕事」にエネルギーを注ぐ

 研修と面談という仕事には、非生産的な事務作業が付き物です。研修なら、テキストを作ったり調達したりする、講師や会場の手配をする、受講者に案内を出す等。面談なら、一人ひとりのスケジュール調整を行う、あらゆる人事データを抽出する、会場を確保する等。
 この非生産的な作業が全体稼働の半分。そして、面談をして行動変容を起こさせることにより会社に貢献することができる、所謂、生産性のある稼働が半分。

スティーブ・ジョブズのことばに、こういうものがあります。

20%のタスクが80%の成果を出す。
成功者はその20%に集中して仕事をする。
成果が出ることだけに時間を費やすのである

 私は50%の非生産的作業の約8割をおカネで解決できました。作業をアウトソースすることを上司が勧めてくれたからです。
50%の8割ですから、40%を省力化。ジョブズのように20%とはいきませんが、60%の稼働が100%の成果を生み出す構造になっています。成果が出ない仕事は、どうやって手を抜くかを考えることです。成果が出せない人はこのエネルギー配分を見直すべきでしょう。

ずる賢く働く

 これら私の経験とビリギャルから得た教訓を総まとめするとこういうことになります。

最小限の努力で最大限の成果が出る方法を考えよう!

 年をとったら、良い意味でいかに楽をして高く評価されるかという発想が大事です。楽をしてというのはサボるという意味ではありません。得意なことであったり、得意でなくても普通にやっているだけで凄いと思われることであったりという意味です。

 これは究極の効率化と言えるかもしれませんが、効率化というワードはインパクトがありません。会社の偉い人やエリートたちが使うワードなので、ベテランはむしろそのワードに拒否反応を起こします。「ずる賢い」と言った方がベテランは興味を持って飛びついてくれることが圧倒的に多いのです。「効率的に働こう」より「ずる賢く働こう」の方がなんだか楽しそうじゃないですか。

 この哲学を悟ったとき、某鉄道会社がかつて、鉄道を走らせる予定地を安く買い上げておいて、地価を高騰させることができ、それにより買った土地の一部を売るという不動産手法で収益を得ることができていたという話を聞いたことを思い出しました。ずる賢い思考法と通じるところがあると思います。

 私が鉄道会社の社員なら、何年か先に駅を作る計画がある不動産を買っておきます。「駅まで徒歩20分」もかかっていた土地が、突然「駅前」に変化するのですから。ああ、なんとずる賢い・・・。

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⚫︎第3回:2月15日(土)11時〜12時
 行動変容を促す浅井流キャリア形成支援法②
 ~「研修・面談の企画・準備から実施、ゴールまでの成功ストーリー」編~
⚫︎第4回:3月22日(土)11時〜12時
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⚫︎第5回:4月19日(土)11時〜12時
 キャリコン資格を持たないマネージャーが部下のキャリア面談を成功させる方法